佐々木塾ブログ

2022年中学受験で思ったこと

 今回は塾をやっているいる以上どうしても避けて通れない問題...不合格について考えたい。 その前に引用したい文章がある。  "失敗してもいいからやってみよう"という失敗と、"絶対成功させてやる!"という気持ちのもとでの失敗は、全 く別物だと思います。後者の失敗では大きなショックを味わいますが、そこから学ぶことは非常に大きいのです。
西畠背順「教えてくれたのは植物でした」

 この引用の後者の場合、実は成功するよりも実りがあったのではとさえ私は思っている。これはあくまで死に物狂いで 勉強して誰にもも後ろ指をさされない勉強をしてきたものだけに言えることではあるが。話を当塾の生徒C君に戻したい。 彼はW中学を本命に置き、T中を抑えに今年の入試に臨んだ。W中学は2/1と2/3、T中は2/2に入試があった。W中学は 当落線上で、T中は模試でも合格可能生が高いところにあった。2/1のW中学がだめで、さらに2/2のT中がだめとわかっ たとき、C君は大粒の涙を流したということだ。そして動揺したままW 中の2回目を受けそれも玉砕。結局今回の受験 は0勝3敗という結果に終わってしまった。  

 この経緯を知って私が思ったことは、あれだけ真面目に佐々木塾の授業を受けてくれ、宿題や課題など黙々とこな してくれた可哀想だということだった。神も仏もいないのか。塾講師にあってはならぬ神頼み的なことまで考えてし まった。

 しかし冷静に考えたときこれは可哀想でも気の毒でも何でもない。C君にとってまたとない経験ができたのだと考える ようになった。これはC君がT中学を落ちたことを知ったとき大粒の涙を流したということがすべてを語ってくれる。私た ちは"絶対に受かってやる"という思いからことを始めることがあるだろうか?案外落ちた時の予防をあらかじめ作っ て置いて、落ちた時のショックを和らげる策を講じたりしていないだろうか?そう大粒の涙が出てきたのは"絶対受 かってやる"という気持ちが裏切られたからで人としてあまり体験しない種類のショックであると思う。  

 後のないところまで自分を追い詰めて、その願いが報われなかったとき見える景色はどんなものだろう。そんなこと を経験したことがない人にとっては「絶望の真っ暗闇」というかもしれない。でも本当は意外とぼんやりとではある がうす暗い光が見えるのではないだろうか?全力を出し切った清々しさと次が与えられるなら今度こそという確かな 決意。それが光となって見える気がする。だから「不合格」ということはこれで終わりなのではなく、次のステッ プと置き換えらるのかもしれない。歌の歌詞のような結論になってしまったが、「不合格」も決して気休めでなく悪 くない経験だと思う。

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