前編では、一橋大学入試の全体戦略や問題の特徴についてお伝えしました。
後編となる今回は、科目別の勉強法と、学部別に必要な戦略をまとめて解説します。
科目別の勉強法
一橋大学は思考力・言語化能力を重視する大学です。
暗記だけでは突破できないため、科目ごとの“正しい勉強法”が非常に重要です。
【国語】
国語は
- 論説文
- 近代文語文(+時折古文)
- 要約問題
の3構成。
最大のポイントは、筆者の主張を短くまとめる力です。
「解答の核」をつかむ練習として、添削を受けながら書き直す反復がもっとも効果的。
特に近代文語文は“慣れ”が勝負なので、過去問で読解の型を身につけましょう。要約問題についても、演習量が物を言う分野になります。
【数学】
一橋の数学は「難しそうに見えて、典型問題の応用」というタイプが多いです。
頻出分野は
- 整数
- 場合の数・確率
- 微分積分
これらの分野を中心に、まずは青チャート・フォーカスゴールドなどで基礎〜標準を完璧に仕上げることが最優先。典型問題で詰まらないレベルになれば、一橋の問題でも十分戦えます。数学で高得点を目指したい方はベクトル、数列も演習が必要ですが、確実に5割ほど取りたい方は上記の3分野をまずは固めることをお勧めします。
【英語】
構成は
- 長文読解
- 英作文(絵の説明/意見論述)
の2本柱。
長文は奇問が出ないため、単語・文法・構文・長文の基礎を積み重ねれば対応可能です。
一方で英作文は“慣れ”がすべて。単語の意味が分かってもそれを自分で使えるとは限りません。意外と文章に起こすときに表現が出てこなかったり、動詞の後に着ける前置詞がわからなくなったりします。そのため、学校や塾で添削を受けながら、表現の型を固めてください。
【社会(日本史)】
一橋の日本史は、全てが記述式という“特殊科目”。
問題構成は
- 大問1:近代以前
- 大問2〜3:近代〜現代
が基本ですが、経済史の比重がやや高いという特徴があります。
さらに、一橋は過去に出たテーマが再び出ることがある大学です。
そのため、
- 25年分の過去問を遡って徹底的に演習する
- 教科書を何度も読み込み、一文一句覚えるレベルにする
この2つが、もっとも再現性を上げる学習法になります。
日本史は、単なる暗記ではなく、
「原因 → 結果」「背景 → 影響」を文章で説明できるかが勝負です。
だからこそ、一橋の日本史こそ“努力量が点数に直結する科目”ともいえます。
学部ごとの戦略
一橋は学部ごとに配点が大きく異なるため、志望学部の理解が戦略の核となります。
【商学部:数学+英語の2本柱で戦う】
商学部は2次も共通テストも英語・数学の比重が特に大きい。
世界史・国語の配点もあるが、逆転力は弱め。
最優先:数学+英語(両方)
- どちらかを捨てるのではなく“両方取る”学部
- 均等に8割ラインを狙えると一気に合格圏に入る
※共通テストは理科基礎+情報の圧縮率が低いので要注意。
【経済学部:数学が圧倒的王者。数学+英語が軸】
経済学部はとにかく数学260点が超巨大。
国語110点の2倍以上あり、ここが事実上の勝負所。
最優先:数学(圧倒的)
次点:英語
- 数学で高得点を取れるかどうかがほぼ合否を決定
- 数学が不安定な科目なので、英語も安定して取っておくと安全
※社会・国語で大差はつきづらい構造。
【法学部:とにかく英語。英語で勝負が決まる】
法学部は、2次試験で英語の配点が突出して大きいのが特徴。
(英語280点は全体の中でも最大級)
最優先:英語
- 英語で8割以上を狙えるかどうかが合否の分かれ目
- 残り科目(国語・数学・社会)は“落とさない”ラインを確保
※共通テストでは理科基礎・情報が圧縮されないため、ここで失点すると不利。
【社会学部:英語+社会が最重要。文章処理力で勝つ】
社会学部は、2次試験の英語280点+社会230点が非常に大きい。
また共通テストでは理科が圧縮されずそのまま入る点も特徴。
最優先:英語+社会
- 特に社会(日本史・世界史)は論述で差がつく
- 英語も抽象度の高い文章に強いほど有利
共通テスト理科も軽視厳禁
- 配点がそのまま反映するため、ここで落とすと痛い
まとめ
一橋大学の入試は、「どの科目で勝負するか」「どこで安定して得点を積むか」を明確にして取り組むことが、合格への最短ルートになります。
国語・数学・英語・社会のすべてが大切ですが、学部ごとに“重み”が異なるため、自分の得意科目と照らし合わせて、早い段階から戦略を立てることが重要です。
また、一橋の問題はどの科目も独特で、過去問を重ねるほど解法の型が見えてきます。基礎を固め、過去問で実践し、必要に応じて添削を受ける——このサイクルを正しく回せるかどうかが合否を分けます。
佐々木塾では、科目別・学部別に最適な学習計画をご提案し、生徒一人ひとりに合わせた指導で、合格までしっかり伴走します。
一橋大学は、正しい努力を積めば必ず近づける大学です。今日からの一歩を、一緒に確実にしていきましょう。

